南アルプス視察 【阿部卓也】

 

「南アルプスの大部分が実は静岡県にあります」というとびっくりされる方が多いかもしれません。静岡県の地図を思い浮かべてください。とんがっている部分の根元から上全部が南アルプスであり、大井川の源流地域でもあります。
 
深田久弥の「日本百名山」には南アルプスから10座が選ばれているのですが、そのうち6座が静岡県、さらに百名山漏れしている3000m峰が5座もありますし、「生物の多様性の保全」と「持続可能な経済・社会の発展」を両立することを目的とした「ユネスコエコパーク」にも選定されている国内屈指の自然環境が豊かな地域でもあります。
 
さて、その南アルプスに県がどのように関わっているかというと、自然環境と大井川の水源の保全はもちろんのことですが、県営の山小屋が10箇所あり、山小屋の管理と関連する登山道整備などにも関わってゆく責務があります。

この夏、南アルプスへ会派として2度の調査をかけました。

8月には「自然環境調査と山小屋・登山道のチェック」を目的に4名の議員(阿部卓也、杉山淳、松井優介、山田新)で1泊2日と3泊4日の2班に分かれて、「高山植物の食害を防ぐための防鹿柵に設置状況と効果の確認」「ライチョウや動植物の生態調査」「山小屋の状況調査」「登山道の状況調査」「地質調査」「登山者からのヒアリング」などを3000m峰5つを縦走しながら調査しました。
 
9月には「リニア関連の工事箇所の現地視察と林道の整備状況視察」を3名の議員(阿部卓也、四本康久、杉山淳)でおこないました。
 
どちらの調査、視察も自らの足で現地視察を敢行したことでしか得られないことが多くありましたが、近年の気候変動による影響の大きさや、いまだ年に4mmも隆起を続けている世界でも希有な山脈である南アルプスの若く荒い地質の状況を実感したこと、絶滅が危惧される動植物の実態と保全状況を直接視察できたこと、山小屋管理人や登山者の生の声をお聞きできたこと、JR東海さんと一緒に工事現場の課題や状況を確認できたことは大きな成果でありました。
 
これらの成果を、県の施策や国との調整、JR東海さんとの調整などにも活かし、国内で最も雄大で美しい山々と称される南アルプスの自然と登山のための環境整備と安全を守り、今後本格化してくるリニア工事に際しても、自然環境と水資源の保全とリニア工事の両立を実践してゆくためにも、我々自らがチェックをし続けることが大切であると実感できた山行となりました。
 
実は県議会議員の業務のなかには、こういう過酷なものもあるとご承知いただければ幸いです。身体が資本の政治家です。今後もしっかりがんばります!