酷暑の夏に考えた 【小長井由雄】 近年の夏の暑さは耐え難いものがある。特に、ここ2年間の7月から9月にかけては命に関わるほどの酷暑ということを実感している。 かつては四季がはっきりしており、季節の変化に体も順応できたが、今では春や秋の存在が薄れつつある。 三重大学の研究によれば、1982年から2023年の間に日本の「夏の期間」は約3週間延び、春と秋が短くなっているという。冬の長さはほぼ変わらず、日本の季節は「二季化」しているとされる。この変化の背景には、産業革命以降の化石燃料の使用による温室効果ガスの増加があり、地球温暖化が進行。海面水温の上昇が夏の長期化を招いている。 国連のグテーレス事務総長が「地球沸騰化の時代が訪れた」と述べたように、状況は深刻だが、希望もある。2025年上半期には、世界の電源構成において再生可能エネルギーが初めて石炭を上回ったとの報告があり、太陽光や風力発電が電力需要に追いつきつつある。 ノーベル化学賞を受賞した北川進教授の「金属有機構造体」の研究は、大気中の二酸化炭素を選択的に吸着・回収できる技術として、環境分野での応用が期待されている。温暖化がすでに転換点を越えたとの見方もあるが、人類を救う技術革新に希望を託し、「必要は発明の母」「窮すれば通ず」の言葉を信じたい。