議会報告

令和6年6月定例会

意見書

建設業における労働環境の整備を求める意見書

(令和6年7月8日可決)

提出先

  • 衆議院議長
  • 参議院議長
  • 内閣総理大臣
  • 総務大臣
  • 財務大臣
  • 厚生労働大臣
  • 経済産業大臣
  • 国土交通大臣
  • デジタル大臣

本  文

建設業は、良質な住宅や社会資本整備の担い手として、また災害の発生に即応して災害復旧を担う「地域の守り手」としても国民生活に貢献し、かつ地域経済活動を支えている。
建設業の就業者数は、令和4年度には479万人と、ピークであった平成9年の685万人から約3割減少し、また29歳以下が11.7%と、若者世代が1割程度しか従事せず、高齢化が進行している。特に建設工事の直接的な作業を行う技能者は、60歳以上が全体の約4分の1を占め、10年後にはその大半の引退が見込まれる。また、労働環境は、他産業で標準的な週休2日が十分に浸透しておらず、年間総実労働時間は全産業と比べて90時間長い状況である。
さらには、建設業界は工事全体の総合的な管理監督を担う元請、中間的な施工管理や労務の提供を担う1次、2次の下請、そしてその下請といった重層的な構造となっていることで、施工対価の減少など、下請業者の負担が大きくなっている現状がある。
そうした中、令和6年4月から時間外労働の罰則付き上限規制が建設業にも適用され、「建設業の2024年問題」と言われる担い手不足の深刻化が一層懸念される状況である。
よって国においては、より一層の処遇改善や働き方改革、生産性向上を一体として進めるため、下記の事項について財政措置を含めた特段の措置を講ずるよう強く求める。

  • 時間外労働の罰則付き上限規制の適用に対応するため、建設現場における工期設定の適正化を図ること。あわせて週休2日工事を標準とし、毎週いずれかの日で2日以上の現場閉所を行う場合、要した経費を調査の上、さらなる補正措置等を講ずること。
  • 働き方改革を進めるに当たり、技術者不足及び担い手不足が特に著しい中小企業・小規模事業者に対する支援をさらに拡充すること。
  • データ連携等を通じた適時適切かつ効率的な施工管理をはじめ、情報通信技術の活用などによる生産性向上の取組を進めるために必要な措置を講ずること。
  • 資材価格高騰等の価格変動に対応するため、受発注者間での透明性の高い協議プロセスの場を構築し、制度化すること。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

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