議会報告
令和6年9月定例会
意見書
ひきこもり支援に関する法整備を求める意見書
(令和6年10月11日可決)
提出先
- 衆議院議長
- 参議院議長
- 内閣総理大臣
- 総務大臣
- 厚生労働大臣
本 文
内閣府が令和5年3月に公表した調査によると、ひきこもり状態にある人は、全国の15歳から64歳までの年齢層において約146万人おり、その割合は50人に1人と推計され、なかでも80代の親と50代のひきこもりの子が孤立・困窮するいわゆる「8050問題」や、親が亡くなった後の50代のひきこもりの子の支援等の課題が深刻な社会問題となっている。
令和元年度に静岡県が実施した調査においても、ひきこもり状態にある人のうち40代と50代で全体の5割以上を占めているほか、ひきこもりの期間が15年以上というケースが最も多くなるなど、ひきこもり状態の高齢化、長期化が進んでいる。
ひきこもり状態が長期化すると、身体的機能の低下に加え、年齢相応の学習や社会体験の機会を失うことから社会生活の再開が困難となる。またひきこもりの原因は多様かつ複合的であるため、当事者一人一人の状態・状況に応じたきめ細かで切れ目のない支援が必要となる。
国においては、「子ども・若者育成支援推進法」、「生活困窮者自立支援法」などの法整備に加え、ひきこもり支援推進事業により各自治体の体制整備を支援しているが、現状ではひきこもり支援に特化した法律はなく、制度のはざまで適切な支援を受けられない事例も少なくない。
自治体に、従来の就労支援などの「問題解決型」から、継続的に関わる「寄り添い型」への転換が求められる中、厚生労働省は本年4月に、「ひきこもり支援ハンドブック~寄り添うための羅針盤~」の骨子を公表した。本年度中に具体的な支援ポイントを盛り込んだハンドブックを策定する予定であり、自治体の取組を後押しするとされている。
こうした現状を踏まえ、さらに適切な支援を進めていくためには、ハンドブックの後ろ盾となるべき法律の制定が必要不可欠である。
よって国においては、「本人や家族の意思を尊重し、生きがいや希望を持って自律的に暮らせること」を基本理念とするひきこもり支援に関する法律を制定するよう強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。