議会報告

令和5年12月定例会

意見書

認知症との共生社会の実現を求める意見書

(令和5年12月21日可決)

提出先

  • 衆議院議長
  • 参議院議長
  • 内閣総理大臣
  • 総務大臣
  • 財務大臣
  • 厚生労働大臣

本  文

我が国における認知症高齢者の数は、2025年に約700万人、65歳以上の人の約5人に1人が、認知症になると見込まれている。こうした中、令和5年6月に、認知症の方を含めた国民一人一人がその個性と能力を十分に発揮し、相互に人格と個性を尊重しつつ支え合いながら共生する活力ある社会の実現を目指して「共生社会の実現を推進する認知症基本法」(以下「認知症基本法」という。)が成立した。
認知症は誰もが発症し、誰もが認知症の介護者となる可能性があることから、共生社会の実現には大きな期待が寄せられているが、認知症の方が尊厳を保持しつつ希望を持って家庭や地域の中で暮らしていくためには、周囲の正しい知識と理解が不可欠であり、保健医療や福祉サービス等の充実、予防や介護等の研究はもとより、生活における障壁の除去など、多岐にわたりきめ細やかな施策を講ずることが重要である。
よって国においては、認知症との共生社会を実現するため、下記の事項について積極的に取り組むよう強く要望する。

  • 認知症基本法の円滑な施行に向け、施行後に設置する「認知症施策推進本部」などの準備に万全を期すとともに、認知症に対する差別や偏見の解消のため、省庁横断的かつ総合的な取組を推進すること。
  • 地方自治体の認知症施策推進計画の策定について、専門人材の派遣などの支援を実施するとともに、認知症の方が施策の計画から評価まで参画できる体制を整備すること。また、各自治体の自由度の高い事業展開と予算措置の在り方を検討すること。
  • 認知症の方の労働意欲に応えるため、相談体制を充実させるとともに、事業者の理解促進と労働環境の整備を図ること。
  • 相談から訪問介護、通所、ショートステイまでオールインワンで介護サービスを提供する小規模多機能型居宅介護サービス事業について、見守り体制の整備も含めて拡充し、認知症の方の家族等の負担軽減を図ること。
  • 身寄りのない認知症の方に関して、本人の意思を最大限に尊重し柔軟に寄り添い支える成年後見制度や身元保証等の在り方について検討すること。
  • 認知症への正しい理解を深めるため、国民への啓発や学習機会の創出を図ること。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

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