大井川上流部への視察を行いました。 先週6月9日、リニア問題PTの4名による大井川上流部への視察を行いました。 以下、その報告を致します。 (1)市街地からの主要県道 リニア工事の代償として、静岡市はトンネル新設の協定をJR東海と締結した。これにより、富士見峠の部分をショートカットでき、20数分の短縮になるとのこと。 (2)林道東俣線 台風19号の影響で、山側から押し寄せた大量の土砂が道路をふさいでいました。 また、赤沢崩れは山頂から広く崩れ、土砂が本流を埋めて畑薙橋の橋げたまで着いてしまっていました。 (3)椹島宿舎建設地 椹島ロッジの敷地を取り囲むように、工事用の宿舎の建設が広く進んでいます。 100名規模で生活できる宿舎は、使用後はホテルとして活用する計画だそうです。 (4)椹島導水路トンネル排水口 トンネル工事で出た湧水を、工事地点から11.4kmのトンネルを通り、自然落下で椹島にて源流に排水する。 濁水をどのように浄化し排水するのか、処理施設はどの場所へ建設するのかなどの質問に対して、JR東海の説明は十分ではありませんでした。 (5)燕沢発生土置き場 台風19号で多くの土砂が流れ出た付近で、既に5〜6mの礫が積み上がっていました。 この場所に、長さ600m、高さ70m、総体積360万㎥もの山を作ることになります。 (6)千石宿舎 300人が生活する宿舎で、現在は80人ほどが生活しています。 10棟ほどあるが、背後は崩れ落ちている沢が幾筋も見えました。 (7)長島ダム 国土交通省によって建設された利水、灌漑を目的としたダム。 ここから、大井川流域62万人の産業や命を支える水を供給していることを改めて確認し、自然と人間との共生について考えさせられました。 課題と考察 JR東海は、排水口や工事用トンネルについて、今すぐにでも掘削を始めたいという感を受けた。 作業用宿舎やヤード、林道整備はあくまでも準備工事であるが、トンネル口掘削は本体工事に入るという認識をしっかり確認する必要がある。 南アルプスには水脈である破砕帯だけでなく年間4ミリ動いているという畑薙断層が通っている。 仮にリニアトンネル内でずれが生じた場合、安全性が保たれるのかは不安が拭えない。 山岳地帯である南アルプスの自然は、豊かであると共に大変厳しくもある。 人工で手を加えてもそれ以上の脅威をふるう可能性を感じた。 今後も、引き続き現場主義での研究を重ね、政策提言に生かしていきたいと思います。